血脈相承を拝信しないことによる現罰 正信会

正信会報(一七一号)に、「私の血脈観について」と題する一文が載った。
昨年の講習会での講義らしく、発表者の古川興道はかつての正信会議長だ。
「宗門の血脈観や本尊観の間違えを指摘され、受講者にも広く意見を求められた」(該誌 七㌻)
と同会報は紹介しているが、古川は冒頭で、
「あくまでも当方の考えでありますので、これが一番正しい (良い)とは限りませんので皆さんの意見をお願いし、よりよいものにしたいと考えています」(同 九㌻)
と、自らに定見なきことを吐露（とろ）している。実に呆（あき）れた言い草だ。正信会問題から約四十年経（た）つ今なお、血脈観や本尊観に右往左往し迷走する姿あこそ、邪教の証（あかし）である。

総別の雑乱（ぞうらん）
古川は、
「『血脈の相承』とは大聖人の一切の仏法を総じては大衆に、別しては1人に相承するのが目的」(同 一二㌻)
と総別の二義を示しつつ、
「総じての血脈は『本門戒壇の大御本尊』を根本に、一機一緑の自らに下付された御本尊を、真摯（しんし）に信仰すること」(同㌻）
と言う。雑乱（ぞうらん）はなはだしい悩乱の言、創価学会の信心血脈論と何ら変わらない。
総本山第六十五世日淳上人は、次の如く指弾（しだん）されている。
「仏法に於て相承の義が重要視されるのは、仏法が惑乱されることを恐れるからであって、即ち魔族が仏法を破るからである」(日淳上人全集下巻一四四二㌻ )
「日興上人を師と仰ぎ師弟相対して相承し給ひ、大衆は各々また師弟相対して相承してゆくのが仏法の道である。内証の上には大聖人の御弟子であることは勿論（もちろん）である。といって内証のみに執（しゅう）して、師弟の関係を整へることが最も大事であって此れを無視するところに聖祖門下の混乱があり、魔の所行が起ってくる」(同 一四四三㌻)
別しての血脈の上に総じての血脈が整う。この筋道を乱す古川の言は、総別二義を雑乱する邪義である。

血脈付嘱（ふぞく）の御法体（ごほったい）
日蓮大聖人が『日蓮一期弘法（いちごぐほう）付嘱書』に、
「日蓮一期の弘法、白蓮阿閣梨日興に之（これ）を付嘱す」 (御書一六七五㌻)
と明示された「之」とは、詮ずれば一大秘法たる本門戒壇の大御本尊に収まる。
大聖人は、この一大秘法を日興上人お一人を抜きん出られて相承された。この意義に則（のっと）り、
第五十六世日応上人は、
「別付の法体（ほったい）とは、すなわち我が山に秘蔵する本門戒壇の大御本尊これなり」(弁惑観心抄 三七八㌻)
と明示せられた。
血脈相承の法体とは、本門戒壇の大御本尊と拝するのである。
以来、本門戒壇の大御本尊の権能は、唯授一人血脈相承して歴代法主上人が掌握されるところである。

人情に固執した邪義を捨てよ
古川も一往は『一期弘法』や、『弘安二年の御本尊』や、『唯授一人の血脈』という言葉も、表現は違えども『本門戒壇の大御本尊』であると解すれば、その意味がよくわかる」(正信会報 一七一号一二㌻)
と述べている。
ならば、別付嘱の御法体たる本門戒壇の大御本尊が総本山大石寺に厳護されている現実こそ、唯授一人血脈相承が今に正しく伝わる何よりの証ではないか。
日淳上人の厳しき弾効（だんがい）を刮目（かつもく）して拝せ。
「日蓮大聖人の門流に於ては聖祖は二祖日興上人の血脈相承し玉ひて大導師たるべしと御遺命あり三祖日目上人その跡を承継し玉ひて相承の次第炳乎（へいこ）として明かに今日に至ってをる。よって此の相承を大宗として各々師弟の関係をしうすれば自ら正統の信行に住することができるのである。然（しか）るに中間に於て我慢の徒輩は此れを省みず人情に固執して逸脱をしその結果己義を構へ邪義に堕したのである」(弁惑観心抄 七㌻)

本門戒壇の大御本尊から離れて、広宣流布は語れない。直ちに懺悔（ざんげ）しなければ、悪業（あくごう）の罪過が重なるだけである。

（大白法 第一〇三〇号 令和二年六月一日）